出産・子育て

[授乳トラブル] 母乳不足で新生児が脱水症状、死に至った事件。

授乳トラブル・母乳不足で新生児が脱水症状

産まれてきたばかりの赤ちゃんの唯一の栄養源と言えば「ミルク」。離乳食を開始する生後6ヶ月までは、母乳か粉ミルク(formula=フォーミュラ)しか口にする事はできません。

母乳の様々なメリットを考えると、何とか母乳育児で頑張ろうというママ達が多いと思います。しかし、赤ちゃんが上手におっぱいを吸えるようになるまで多少時間がかかるのに加え、母乳の出る量には個人差があります。

母乳の量が実際には足りていても、足りないのではと感じるママは少なくありません。しかし、ブレスパンプ(搾乳機)を使えば、一体どのくらいの量が出ているのかは大体わかります。また、赤ちゃんがオムツにオシッコをしている回数で、母乳の摂取量の把握ができると言われがちですが、産まれてから最初の4日間はミルクの摂取量とは関係なくオシッコやうんちをするそうです

今回は、アメリカで実際に起きた母乳不足による悲劇な出来事をお伝えしたいと思います。

当時、新米ママであったジリアン・ジョンソンが事件について語ったのは、事件当日から5年の月日が経過してからのことです。事件の内容を話すことで、周りが自分のことをどうジャッジするのかが怖くて、なかなか公開できなかったそうです。

しかし、他の家族が将来自分達と同じ苦しみを経験して欲しくないという願いから、息子の死に至った経緯をTHE FED IS BEST FOUNDATION のブログで綴りました。

初めての出産・母乳育児で気をつけなくてはいけないこと

母乳が出ているか自分の目で必ず確かめる

 

アメリカで起きた新生児の脱水症状から死に至った事件。

これは非常に稀なケースではあるが、完全母乳育児で育てたいという新米ママは特に気をつけなくてはいけないなと改めて思い知らされた事件である。

当時新米ママであったJilian Johnson(ジリアン・ジョンソン)は初めての出産を迎える前、parenting classes(日本ではマタニティークラスまたは出産準備教室のようなもの)は全て出席し、育児本などにも目を通し、母乳育児のベネフィットについてよく把握していたことから完全母乳で育てようという気持ちで出産を迎えました。

ジリアンは、臨月の時に息子のLandon(ランドン)君を緊急帝王切開にて出産しました。理由は、ランドン君が産まれてくる時に何らかの理由で酸素が不足し、このままではランドン君の命が危ないと判断された為、急遽帝王切開にて出産が行われたそうです。ランドン君の産まれた時の体重は3,360g(7lbs 7oz.)でした。

また、出産直後に行われるアプガー指数(以下参照)は8点と9点で正常でした(7点以上が正常数値)。ランドン君は産まれてから2時間半後に母親のいる部屋に戻され、ジリアンは1〜2時間毎に15分〜40分間授乳をし続けました。

アプガー指数(Apgar Score)とは?

出産直後の新生児の健康状態を表す指数、および判定方法。以下の5つの評価基準について0点から2点の3段階で点数付けをし、合計点で判定する。

Appearance – 皮膚の色
Pulse – 心拍数
Grimace – 刺激による反射
Activity – 筋緊張
Respiration – 呼吸数

生後1分と5分に、上記の5項目について評価を行い、その合計点によって判断を行う。

  • 0-2点 – 第2度仮死
  • 3-6点 – 第1度仮死
  • 7点以上 – 正常

日本においては、以下のように評価することもある。

  • 3点以下 – 第2度新生児仮死(重症仮死)
  • 4-6点 – 第1度新生児仮死(軽度仮死)

いずれにせよ、点数が低い場合には、蘇生処置など、何らかの対処が必要となる。

Source: https://ja.wikipedia.org/wiki/

ランドン君は、起きている間は常に泣き続けており、泣きやませる為に母親のジリアンは常に授乳をし続けなくてはなりませんでした。ジリアンは、ランドン君が毎時間のように授乳を欲しがり、おっぱいを吸っている間だけは泣きやんだことから、出産前に授業で習ったcluster feeding(またはbunch feedingとも言う)のせいだと思い込んでしまいました。

<Landon君の生後2日目の写真>

 

 

 

 

 

On the second day of life, he was crying and nursing all of the time.

Source: https://fedisbest.org/2017/02/given-just-one-bottle-still-alive/

 

Cluster feeding(クラスターフィーディング)とは、主に夕方から夜にかけて毎時間おっぱいを欲しがってfussy(ぐずる)になることです。もし、いつもは3時間毎の授乳だったのが急に1時間毎に欲しがるようになったらcluster feedingのサインです。

尚、入院中にラクテーション・コンサルタントがジリアンのbreastfeeding(授乳)をチェックした際、ランドン君のおっぱいの吸い方は上手にできており大丈夫と言ったそうです。しかし、ジリアンは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS=Polycystic Ovarian Syndrome)と診断されており、他の人と比べて母乳が作られにくい症状であることから、病院のスタッフの一人がジリアンの母乳の出に問題があるかもしれないと指摘しました。母乳の出が良くなるハーブを摂取するようにと退院の時に勧められました

ジリアンはランドン君がおっぱいを吸っている間は泣きやんでいた事から、その間母乳を飲めているのだと勘違いしてしまいましたが、実際には目で初乳(しょにゅう)が出ているのを確かめてはいなかったのでしょう。ラクテーション・コンサルタントも、ランドン君のおっぱいの吸い方はチェックしましたが、恐らく実際に母乳が出ているのは見ていなかったと思われます。

初めての出産で緊急帝王切開、医者からはPCOSと診断されたがラクテーション・コンサルタントからは授乳は上手に出来ていると言われ、出産してから64時間(およそ2日半)後に退院しましたが、ランドン君の体重は産まれた時から9.7%減少していました。

赤ちゃんの体重が生後間もない頃(生後5~7日)に一時的に減少するというのは極普通のことですが、母乳のみを与えられている赤ちゃんの場合は7~10%の減少フォーミュラ(粉ミルク)のみを与えられている赤ちゃんの場合は5%の減少が通常と考えられています。ランドン君の体重の減少がこの通常と思われている10%以下であったことから、医者からは特に粉ミルクを足すようになどといった指示はなく、翌日にフォローアップするようにとだけ言われて退院しました。

しかし、ある科学文献では、7%以上の体重減少は黄疸(jaundice)や高ナトリウム血症(hypernatremia)になるリスクが非常に高く、長期的な発達障害を引き起こすレベルであると言われています。また、母乳を飲んでいるのかはオムツの汚れ具合で判断できると思われがちですが、産まれてから生後4日間の赤ちゃんにおいては、ミルクの飲んだ量とオムツの汚れ(オシッコとうんちの回数)は全く関係のない事だと証明しています。

生後4日間は、赤ちゃんのオムツの汚れはミルクの摂取量と比例しない

赤ちゃんのオムツの替えた回数で、どのくらいミルクを飲んでいるかが判断されがちですが、産まれてから生後4日間においては、オシッコやうんちの回数はミルクの摂取量と比例しないことが以下の科学文献で証明されています。

新生児の体重減少が大きい場合でも、1日に6回までオシッコやうんちをする事が可能という研究結果も出ています。

 the scientific literature on wet and dirty diaper production has shown that the number of diapers produced have no correlation with adequacy of milk intake in the first 4 days of life. The only study on diaper counts has shown that even newborns who lose excessive weight can produce up to 6 wet and dirty diapers a day.  In addition, at this time, the Baby-Friendly Hospital Initiative has produced no data on the safety of newborn fasting and weight loss caused by exclusive colostrum feeding and what degree of weight loss protects a child from brain-threatening complications like hyperbilirubinemia, hypernatremic dehydration and hypoglycemia. So far, the scientific literature shows that babies who lose greater than 7% of their birth weight are at highest risk of developing excessive jaundice and hypernatremia to levels that can cause long-term developmental disability. It has also been found that 10% of healthy, term, exclusively breastfed babies undergoing the Baby-Friendly protocol experience hypoglycemia to levels that are associated with 50% declines in the ability to pass the literacy and math proficiency test at 10 years of age, even if aggressively corrected.

Source: https://drive.google.com/file/d/0B0_MbXCqYazzUi0wWDJTRXVBY1E/view

 

因みにランドン君は、生後1日目にオシッコは0回でしたがウンチが4回、生後2日目にはオシッコが3回、ウンチが6回も出ていました。

筆者も思い返せば、息子が産まれてくる瞬間にウンチをしていたので、お腹の中の羊水から得ていた物の排出が生後すぐに出たのだと察知しました。

フォーミュラ(粉ミルク)に頼る事は決して恥ずかしくない

ジリアンは退院後、常に泣き続ける息子にどうして良いかわからず常に母乳を与え続けました。帝王切開してからたったの2.5日の退院。日本だったら考えられないスピード退院です。ジリアン自身、術後のお腹の痛みでベッドから起き上がるのも辛い状況の中、授乳の体制をし続けたと想像するだけで痛みがひしひしと伝わってきます。

残念な事に、ジリアンとランドン君が退院してから半日も経たないうちに、ランドン君の心拍停止(cardiac arrest)となりすぐ病院に運ばれNICUにて治療が施されました。ランドン君は高ナトリウム血症性脱水(hypernatremic dehydration)及び循環血液量減少性ショック(hypovolemic shock)と診断され、それが原因で脳損傷、死に至りました。

ジリアンは、もし粉ミルクを一本でもあげていればこんな事にはならなかったのにと何度も何度も後悔し続けました。ランドン君が泣き続けていた理由はcluster feedingではなく単にお腹が空いていたからだったのです。

完全母乳育児に対するベネフィットをよく熟知していたからこそ当時新米ママであったジリアンはどうにか粉ミルクには頼らずに母乳だけで頑張ろうと必死になってしまいましたが、粉ミルクをサプリメントとしてまたは粉ミルクのみを与えることは決して恥ずかしい事ではないと思います。母乳育児をサポートしようとする病院でも、そのまま直ぐに飲めるフォーミュラを頼めばすぐに出してくれます。

筆者も第一子の時は、妊娠中に出会った日本人のナースに、「粉ミルクを与えちゃったら脳が母乳を必要としないと思って出さなくなる」みたいな事を言われたのを覚えていた為、産後二日目の夜退院するまでは粉ミルクを与えていませんでした。しかし、アメリカ人のナースに”He seems hungry!”と心配そうな顔をされ、試しにフォーミュラ(すぐに飲めるタイプ)を1本与えたらゴクゴク飲んでくれて、あ〜やっぱりお腹が空いていたんだねと思い、一安心して退院しました。

退院後、ただなんだからもっと沢山もらっておけば良かったと後悔したくらいです。

アメリカ(ニューヨーク)の病院で用意しているフォーミュラは大体Similacという会社のものです。筆者は2箇所の病院で出産しましたが、どちらもSimilacのそのまま直ぐに飲めるタイプのフォーミュラをもらいました。他に有名なのはEnfamilという会社で、この2社に関しては、ホームページで登録をすると、無料で粉ミルクのサンプルを箱で送ってくれるので、サプリメントとしても母親が病気や薬の摂取などで母乳をあげられない時などに非常に役立ちます。クーポンもその後送り続けてくれるのでかなりお得です。

Similac https://similac.com/strongmoms

Enfamil https://www.enfamil.com/

アメリカの母乳サプリメント、日本のハーブティー

最後に、母乳の出がよくなる母乳サプリメントをご紹介したいと思います。

第一子の時に友人から紹介してもらった以下のサプリメントは、第二子の時にも大活躍しました。Nature’s WayのFenugreekです。Amazonでも近くのビタミンショップなどでも売っています。日本のamazonでも売っているので正直驚きました。とにかく、このサプリのお陰で母乳の量が増え、産後数ヶ月は救われました。

また、今回日本滞在中に発見した日本の母乳育児応援ハーブティーが凄かったので紹介します。日本人の体質に合わせて作られたオーガニックハーブティーで、筆者はAMOMA卒乳ブレンドを当時1才9ヶ月になる娘の断乳時に利用しました。

一人目の時は自然に卒乳してくれたので何も困らなかったのですが、二人目の時は夜中の授乳がずっと続いていたのと体力の限界を感じ卒乳を決断。娘には半年前からオッパイとはさよならという話をし続けていたので娘の心の準備は出来ていたものの、母乳の製造自体は急には止まってはくれず、搾乳機を利用しても乳腺炎になりそうな状況でもうダメだと思いAMOMAの卒乳ブレンドを発見。

Websiteを見ると、妊活女性の専用ハーブティー!AMOMA妊活ブレンドとかもあり、母乳不足のママにはAMOMAミルクアップブレンドがオススメみたいです。妊活時期から産後まで幅広く取り扱っているのはアメリカの会社では見たことがないです。ただ、ハーブティーの味が苦手な人は、Fenugreekのサプリタイプが摂取しやすいかもしれませんね。


まとめ

アメリカで実際に起きた、授乳トラブルによる赤ちゃんの脱水症状から死に至った事件。

初めての出産・母乳育児で気をつけなくてはいけない事は以下3つ。

  1. 母乳が出ているか自分の目で必ず確かめる
  2. 生後4日間はオシッコとウンチの回数がミルクの摂取量と比例しない
  3. フォーミュラに頼る事は決して恥ずかしくない

また、母乳の出がよくなる母乳サプリやハーブティーを利用してみたり、事前にフォーミュラのサンプルを取り寄せておいて退院直後のまだ母乳の量が少ない時にサプリメントとして足してあげる事で脱水症状は避けられるのではと筆者は思います。

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