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アメリカ駐在員がやるべき最低限の努力
初めてアメリカに駐在される方の中には、自分から立候補して厳しい試験や面接などを突破して駐在生活を手にした方もいれば、突然会社からの命令で飛ばされて来た方もいるでしょう。
自分からアメリカ生活に憧れて英語の勉強をしてきた方は、ある程度英会話または簡単なビジネス英語くらいはできるので心の準備も整っていると思いますが、数ヶ月後にアメリカねと急に命令が出た方の多くは海外生活の経験も無ければ英語なんて全く話せない人がほとんどです。
筆者はこれまでに200人近く駐在の方々を同じ職場やクライアント先で見てきましたが、アメリカで成功する人と成功しない人の差があまりにも激しいので、元留学生の筆者ができるアドバイスをここで紹介したいと思います。特に3つ目のアメリカのビジネスマナー・文化については最低限知っておいて頂きたい。
それでは、アメリカ駐在前にやるべき最低限の準備からお話ししていきます。
アメリカ駐在前にやるべき最低限の準備①
英語の勉強
英語の勉強はとにかく死ぬ気でやっていただきたい。
この記事を読んでいるタイミングが既にアメリカに引っ越してきた後だったとしても諦めないで今からでも取り組んで頂きたい。普段は毎日残業で週末も仕事に出ていたり接待があったりと色々言い訳をしたい気持ちはわかりますが、時間というのは自分で作るものです。
トイレ休憩中に携帯でゲームをしている時間があったら英語の勉強アプリとか海外ドラマを英字幕付きで観るとか毎日の中の5分、10分を無駄にしない。会社にいる間はなるべく現地スタッフと英語で話す!そういう努力をできるかできないかで英語を話せる人になるか一生話せない人になるかにわかれます。
高校で学んだ英語の文法さえわかれば読み書きだって難しい単語を除いて大体内容を把握できるものです。アメリカの会社では英語でemailを書くし書類関係もほぼ全て英語です。
コテコテの日本人ばかりが現地にいる場合は仕事でもほとんど日本語しか使わない会社もあります。そういう環境の会社に駐在で行った方は、英語をほとんど学ばずに帰国されるパターンになるので本当に可哀想です。特にLAやNYなど日本人が多いエリアなどは働いていない駐妻の方が昼間語学学校に通ったりして旦那さんより英語が話せるようになるパターンが多いです。(笑)
日本ではどんなに優秀な方だったとしても、英語ができない方は現地の人からすると「会社のお荷物」でしか見られないので、英語は最低限できるのが当たり前のスタンスでいて頂きたい。但し、スポーツ選手とか芸能人とか何かの技術者(研究者)とかは英語がそれ程できなくても仕事に支障が無ければそんなに問題ではありません。
駐在員は住宅手当や車、ガス、教育費など給料以外の面でもかなりサポートが手厚いので現地スタッフからはお金をいっぱいもらっている分働いて欲しいというのが本音です。本人の希望でアメリカに来た訳でなかったとしても仕方ありません。給料泥棒にならないよう少しでも早く即戦力になれるよう努力をして頂きたい。
アメリカ駐在前にやるべき最低限の準備②
パソコンスキル・Microsoft Excel, Word
英語が駄目ならせめてパソコンスキル、特にExcelやWordは人並みに使えるようにして頂きたい。
アメリカ駐在員の多くは既婚していて子供がいる家庭では小学生くらいのお子さんがいるといった感じの年齢層が結構多いのですが、年齢層が高くなればなるほどエクセルとかパソコン操作が苦手な人を見かけます。
日本で働いていた時は普段パソコンでの作業がそれ程無かったせいなのかは不明だが、ビックリするくらいエクセルでの作業が出来ない人を見かけます。(苦笑)
筆者は某外資企業で働いていた時毎日11~15時間は常にエクセルでの作業をしていたので、作業効率化の為ありとあらゆるショートカットは覚えましたしマウスなんてものは一切使用しません。ここで筆者が言いたいのは、「英語が出来ない」=「会社のお荷物」というスタンスに更に「パソコンも出来ない」というダブルパンチがあるともう現地で働いているスタッフ達からしたらあり得ないくらいのクレームの嵐状態になるわけですよ。少なくともローカルで安月給で働いている現地の人達はそう思っているはずです。
今の時代パソコン作業が微妙だとどこの会社でも使えない人扱いになってしまうので全くエクセルの使い方がわからないという方はエクセルのクラスやセミナーなど日本でもやっているので勉強して慣れておくと良いです。
普段からエクセルなど使い慣れている方は、英語版でもできるか練習しておいた方が良いかもしれませんね。
そして、英語もパソコンスキルもそこそこある人でもアメリカ生活が初めての方がもう一つ学ばなくてはいけないものを次に紹介します。これは知っておくだけで直ぐに実践できるので聞いた事はあるけどもまだ身に入っていない方は直ぐ実践して頂きたい。
アメリカのビジネスマナー、文化を学ぶ
英語やパソコンスキル以外に最も必要なのがアメリカのビジネスマナー及び文化を学ぶという事です。
日本とアメリカのビジネスマナーの違い
- 挨拶
アメリカでは挨拶をする時によくハグをしたりチークにキスをしたりと仲良い友人同士でのボディータッチが多いですが、初対面の人や特別仲が良い相手でもない人とは基本握手となりますので勘違いしてハグを求めないように。
初めてビジネスパートナーに会う時は必ず”Nice to meet you.”などと言いながらしっかりと握手をします。この時、相手の手が痛くならない程度でしっかりと握ります。握手をした際に相手の握り具合がフニャッと弱い感じだとアメリカ在住期間が短い外国人なんだなとすぐに分かりますが印象は良くないので握手をするならしっかりとしましょう。
そして、握手を交わす時に自分の名前を紹介します。アメリカ人が発音するのが難しい名前の人は呼びやすいニックネームも用意しておくと相手からすぐ覚えてもらえます。
注意:COVID-19の影響でしばらくは人と握手するといった行動はしなくなったので、6フィート離れた状態を保つ必要があります。
- 相手との距離
よく日本人が勘違いしやすいアメリカ文化の一つが相手との距離感です。
アメリカ人は大体2フィート(61cm)くらいは離れた距離が居心地良いと言われているので、話す時にはそのくらいのパーソナルスペースを保って接すると良いです。
- 腕を組む(タブー)
ミーティングの際など腕を組む動作は考えているというより怒っているように捉えられるので、勘違いされないよう無意識にやってしまう方は気をつけましょう。
- レディーファースト
ビジネスの場面だけではなくアメリカの文化そのものがレディーファーストの文化なので、女性が周りにいたらドアを男性が開けてあげたりエレベーターのドアも開けたら女性を優先させたり、ニューヨークなど地下鉄やバス通勤の方は女性に席を譲ったりと色々な場面で女性を優先するのがマナーなので普段から積極的に実践して慣れましょう。
- 笑顔でごまかさない
ネイティブの英語が聞き取れない事があるのは仕方ありません。質問の意図がわからない時など笑ってごまかさすのはやめましょう。とりあえず笑顔でやり過ごせばいいというわけではないので、わからない時ははっきりと質問をする姿勢でいきましょう。
- アイコンタクト
資料を見ながら色々と説明しなくてはいけないかもしれませんが、なるべく相手の目を見て自分が話している内容が相手に伝わっているのかアイコンタクトを大事にして話しましょう。これは聞く側の立場でも同じです。
- スポーツ
アメリカではスポーツに興味がある人の方が商談の場などでも話が弾みやすく感じます。特にSuper Bowl(フットボールの最終試合)を観ていなかったなんて言ったら話にもなりません。あまりスポーツ観戦に興味がない人でも自分が住んでいる地域の野球のチームとフットボールのチーム及び有名な選手が誰なのかくらいは最低限ビジネストークをする上で知っておいた方が良いかもしれませんね。
まとめ
この記事では、英語ができないアメリカ駐在員が最低限やっておきたい努力と最低限知っておきたいアメリカのビジネスマナー・文化を簡単にまとめてみました。
英語のスキルアップは時間をかけて徐々に上達していくものなので諦めずに取り組んで頂きたいものです。パソコンのスキルは若い世代なら問題ないと思いますが、あまり得意じゃない人は仕事に支障が出ないレベルに到達する努力はした方が仕事の効率化という意味では良いのではないでしょうか。
そして、アメリカのビジネスマナーや文化は今日からでも直ぐに実践できるので、まだ自分ができていないビジネスマナーが一つでもあると感じた方は是非トライしてみてはいかがでしょうか。
初めてのアメリカ駐在は色々と大変ですし色々なものを犠牲にして来ている方も多いと思います。ですが、せっかくの機会なので少しでもアメリカの生活に慣れ親しんで楽しんで頂けたらと思います。