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小池知事が目指す東京版CDC設立とは?
東京都の小池百合子知事が7/6/2020の記者会見にて、新型コロナ対策として東京版CDC(疾病対策センター)の設立を目指す考えを示しました。
CDCとはCenters for Disease Control and Preventionの略で、日本語訳では疾病(しっぺい)対策予防センターまたはアメリカ疾病予防管理センターなどと訳される事が多いです。
今回新型コロナの感染拡大により日本でも東京版CDCの設立にむけ動き始めたのは非常に良い動きだと思います。しかし、日本はどのようなCDC設立を目指すのか気になるところ。個人的にはアメリカのCDCよりは台湾のCDCを良い例として見習って欲しい。
今回新型コロナ感染対策として取ったアメリカのCDCと台湾のCDCの動きの違いについて筆者の視点からまとめてみました。
アメリカのCDC
CDCは現在24時間体制でアメリカ国内だけでなく海外で発生する感染症も含め最新の情報を国民に提供しています。新型コロナの感染拡大によりCDCのサイトでコロナ新情報をチェックする方が増えたのではないでしょうか。
CDCの設立は世界大戦直後の1946年で、当時流行していたマラリアの感染拡大を防ぐ為に設立されました。
アメリカの新型コロナ感染者・死者数
今日時点(7/19/2020)でアメリカでの新型コロナ感染者数は363万人、死者数は13.8万人以上を記録。4,731万人がテストを受けたうち、437万人(9%)が陽性結果でした。
日本の外務省が昨日(7/18/2020)の時点で発表している国別の感染者の推移は以下の通り、アメリカが断とつ一位で多いのは明確。
アメリカの感染者・死者数が多い理由
アメリカでは歴史あるCDCがありながらもどうしてこんなに多くの感染者及び死者を出してしまったのか。
これはCDCが最初フェイスマスクの使用をコロナ感染者のみがすべきで感染をしていない健康である人達はフェイスマスクの必要は無いと公表していたからだ。
日本では風邪を引いている人や花粉症の人はマスクをして会社に行くなど当たり前の光景だが、アメリカでマスクをするという事は、結核など物凄い恐ろしい病気の持ち主で他人に感染させるリスクがあるという意味に捉えられる。そう言った根強い印象や習慣の違いからトランプ大統領含め多くのアメリカ人がマスクを拒む習性がある。
インフルエンザにかかった場合は強制的に自宅隔離となる為マスクをして出社をするなどというのはあり得ないし、風邪を引いたからといってマスクをして出社するアメリカ人の同僚など一人も見たことがない。それと比較して日本や他のアジアではマスクをする事に全くの抵抗が無いお陰で新型コロナ感染者数を大幅に抑えられている。
実際には、医療従事者達が現場で必要とするマスクの供給混乱を避ける為に取った対策とも言われているが、直ぐにフェイスマスクの供給に力を入れなかったり海外からの渡航者の入国制限をしなかった事などを考慮するとCDCのコントロールは非常に甘かったと言える。
それに比べて台湾のCDCはどこの国よりもいち早く新型コロナ感染拡大のリスクを察知し、見事な予防対策にてコロナ戦争に勝ったと言える。
台湾のCDC
台湾では2002〜2003年にSARSが流行った時、死亡率が世界で一番高かったという苦い経験をしている。台湾の病院では医療従事者達の中でも感染者が多発し、病院を2週間クローズせざるを得ない最悪な状況にまで至った。まさに医療崩壊である。そんな経験を生かして、台湾では次に感染症が発生した時の為のありとあらゆる対策をしてきた。
SARS事件から18年経過した今、新型コロナ感染対策をどこの国よりも迅速かつ適切に対応したと世界中が認めている。
台湾の新型コロナ感染者・死者数
7/19/2020時点の台湾での感染者数は455人、死者は7人。ここしばらくずっと感染者数は0をキープしている。
台湾CDCの行動・対策
台湾CDCの動きを時系列で並べてみたが、以下の通りかなり早い段階で動いているのがわかる。
12/31/2019 | 中国武漢にてクラスター発生 |
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1/2/2020 | アウトブレイクの為の準備開始、危険度Level 1(武漢)、N95マスクの製造増加、旅行者のスクリーニングと検疫強化 |
1/5/2020 | 武漢に渡米した人達のモニタリング開始 |
1/21/2020 | 新型コロナ感染者一人目発覚 |
1/23/2020 | 武漢からの入国禁止 |
3/19/2020 | 外国人の入国禁止 |
中国の武漢にてクラスターが発生した12/31/2019からたった3日後の1/2/2020時点で台湾は武漢からの出入国に対して危険度をLevel1(十分注意して下さい)に引き上げ、いつアウトブレイクしてもいいようN95のマスクの増産及び海外へのマスクの輸出を禁止し、旅行者のスクリーニングと検疫の強化を始めた。
台湾CDCは武漢で起きているクラスターが人から人へ感染するものなのかを確かめようとWHO(世界保健機関)に12/31/2019にemailで問い合わせたが、WHOのメンバーでない台湾に対してきちんとした情報提示がされなかったという。この時台湾ではSARSの時と状況が似ていた事から人から人へ感染する可能性が高いと判断し、どこの国よりも早い段階でアウトブレイクを想定して国民にマスクをするよう呼びかけた。
そして、1/5/2020から武漢に渡米した人達のモニタリングを始め、14日間の隔離期間を徹底した。また、台湾政府は携帯会社と連携してコンタクトトレーシングプログラムを使う事により、誰がいつ何処の市にトラベルしたか瞬時にわかるようにした。
日本やアメリカでは感染経路が不明なケースが多いが、台湾のような携帯でのコントロールシステムがあれば14日間の隔離期間に勝手に外出をするといった事も防げるし、感染者の数日前の行動全てを把握する事で他人への被害が大きく広がらなくてすむので、アウトブレイクなどの緊急時には便利な機能だと思われる。
今回台湾CDCが取った行動でコロナに勝利した主な原因は以下にあると思う。
- 14日間の強制隔離を徹底
- 1~4月の期間、フェイスマスクの供給量を8.5倍増加、海外へのマスク輸出禁止
- 1日に2回、covid-19の状況を一般に発表
- コロナ感染者のトラッキング
そして、何よりも台湾の国民達はよくトレーニングされていると感じました。マスクをする事だけでなく、14日間の隔離を徹底する。これは2月のChinese New Yearで台湾に帰っていた友人達がアメリカに戻ってきた時に取った行動で感じました。
アメリカでは当時14日間の自宅隔離はまだ呼びかけられていませんでしたが、台湾ではそれが当たり前のルールという感じだったので台湾人の友人らは家族以外の人には会わないよう自宅で過ごしていました。
最後に
この記事では、アメリカと台湾のCDCの違いについて簡単にまとめてみました。
小池知事が目指す東京版CDCは今後必要不可欠な存在となる事は間違いないでしょう。日本という国を守れるのは日本だけであり、台湾CDCのように瞬時に適切な行動を取れるかどうかは日本政府と日本国民の協力にかかっている。